イチローが否定した野村克也の狡猾さ「あんなのは野球じゃない」
2014年4月9日、イチロー選手は日米通算3,018試合出場を達成しました。
これは、3,017試合出場を記録した野村克也さんの記録を更新したことを意味します。
しかしこの時、「出ているだけでカウントされるものに僕は価値を見出せない。それに尽きる」とコメント。
これは、野村さんを侮辱しているとも捉えられ、物議を醸しました。
かつて野村さんは、
「イチローが好きじゃない。 彼の仕草や態度、物言いを見たりしていると、俺は人とは違うんだ。特別なんだと思っているように感じられるからだ。」
と口にしていました。
また95年オールスターの移動の飛行機で、席が隣同士になった2人ですが、イチローさんは球界の先輩にあたる野村さんに、目が合っていたはずなのに挨拶をしなかったそうです。
そのころから野村さんは、「挨拶もしないのか。なっとらん」と口撃するようになりました。
2人の間には何か仲違いのようなものがあったのでしょうか?
日本シリーズに嫌気
2人の因縁は、95年の日本シリーズでもありました。
野村さんは監督としてヤクルトに、イチローさんは現役の選手としてオリックスに在籍。
この2チームによる日本シリーズとなりました。
試合前、野村さんは勢いに乗るイチロー選手をなんとか抑えないといけないと考え、マスコミに
「イチローは内角に弱点がある」ともらします。
そして、あたかもインコース攻めするかのように思わせ、実際には外角高めの球で勝負させたのです。
その作戦は見事に成功し、イチロー選手は封じこまれ、ヤクルトの日本一で幕は閉じました。
すると、これに対しイチロー選手は、「あんなのは野球じゃない」と発言。
純粋に野球が好きなイチロー選手は、勝つために手段を選ばない野村さんのやり方に嫌気がさしたようです。
メジャー挑戦決意のきっかけ
それから数年後、イチロー選手はメジャーに挑戦。
このメジャー行きを決めたのは、まさに野村さんががきっかけだったとも言われています。
イチロー選手は幼い頃から野球が好きで、グランドでボールを打つだけでも楽しいと感じていました。
3歳ごろから、1年の半分以上は野球をしている毎日を送っており、寝る時もおもちゃのバットとボールを離さないほどでした。
少年野球を始めたころからは、1年のほとんどを野球に費やし、友達と遊ぶ時間は週にわずか5時間ほどしかないぐらい、野球に没頭していました。
91年にドラフト4位でオリックスへ入団し、プロ3年目くらいからブレイク。
首位打者7回、打点王1回、盗塁王1回、最高出塁率5回、最多安打5回といった輝かしい功績を収め、球界を代表する選手になります。
転機は96年。
イチロー選手は日米野球に出場しました。
イチロー選手には、メジャーリーガーが少年のように楽しんで野球をしているように見えたそうです。
そしてこのころから、メジャーへの憧れが強くなっていきました。
99年には、マリナーズのキャンプへ参加することとなり、「帰りたくない」と冗談交じりに話したりもしました。
この時イチロー選手は、日本の野球に対してはどのように感じていたのでしょうか?
「あんなのは野球じゃない」
とイチロー選手がもらした背景には、日本には野球を楽しむという考えが薄く、勝つためだけのやや堅苦しい野球という印象を持っていたのかもしれません。
それを象徴していたかもしれないのが、96年のオールスター2戦目でした。
9回ツーアウトという場面で、オールセントラルチームは巨人の松井秀喜選手が打席へ。
この時オールパシフィックチームを率いていた仰木彬監督は、なんとライトを守っていたイチロー選手を投手に指名します。
イチロー選手は、少年のような笑みを浮かべながらマウンドへ向かっていき、球場は異様な盛り上がりに包まれていました。
しかし、水を差すかのようにセ・リーグを率いていた野村監督は、代打に高津投手を起用。
イチロー投手VS松井選手という夢の対決は、実現することはありませんでした。
仰木監督はオールスターを祭典だと考え、ファンを楽しませるためにとった行動でしょう。
一方、野村監督は厳正なる真剣勝負の場と考えていたため、野手の投げる球で松井選手が打ち取られ、プライドを傷つけられないようにと配慮した行動だったのでしょう。
どちらも間違いではないと思います。
とはいえ、イチロー選手は仰木監督のもとで成長してきた選手です。
ファンを楽しませるという気持ちは、仰木監督と同じようにあったと思います。
オールスターという舞台での野村監督の行動は、やや堅苦しいと感じたのではないでしょうか>
イチロー選手が日本の野球が堅苦しく感じたことも、メジャー行きを決めた一つのきっかけだったかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
イチロー選手は、野村克也さんとの間で起きた因縁がきっかけだけで、メジャー行きを決断したとされています。
しかし、仲違いしたからというだけで挑戦できるほど、メジャーの世界は甘くはありません。
また、野村さんはかつて「理想のオーダー」を聞かれた際、「1番から9番までイチロー」と答えています。
イチロー選手を口撃することはありましたが、最大の敬意も示しています。
現在イチロー選手は、草野球や指導者として楽しそうに野球をしている姿が度々目撃されています。
いずれは監督になり、ノムさんと違った野球を見せてくれることにも期待したいですね。